笑顔あふれる毎日を過ごすためにカラダの不調をどうにかしたい。
専門の先生による解決法を紹介します。
vol.4 足の甲テーピングでむくみも冷えも解消!
マッサージをしたり、温めるだけではむくみは改善されません。むくみを発症させるポイントとなるのが『足の甲』。テープを巻くだけの簡単ケアでむくみが防止できるかも!?
むくみを生み出すのは静脈から染み出た水分
私たちのカラダの中には、酸素や栄養が豊富な血液が流れる動脈と、二酸化炭素や老廃物などを含む血液を運ぶ静脈の2種類の血管があります。血管壁には細かい穴があり、水分が染み出ています。そして、血管の外に出た水分の一部はリンパ液としてリンパ管に吸収されます。
動脈は心臓によって力強く押し出されますが、重力に逆らって心臓に戻る静脈には勢いはありません。そのため、流れが滞りやすくなり、血管外に押し出される水分が増えるのです。このリンパ管が吸収しきれない細胞間の水分が増加した状態がむくみです。つまり、むくみは静脈で起こっているのです。
むくみを改善するなら足の甲にアプローチ
最もむくみやすい足には2本の静脈が流れており、足の甲でアーチ状につながっています。さらに、これまでは組織を通して動脈から静脈に流れるとされていた血液が、足の甲では、足先の動脈とアーチ状の静脈が直接つながっていることも分かってきました。この動脈と静脈を直接つないでいる„抜け道血管"は、普段は閉じていて、異常を察知すると開き、カラダを守るために働きます。けれども、その„抜け道血管"が暴走してしまうことがあるのです。実は静脈の流れを乱す最大の要因は、この暴走にあったのです。
足がむくむと、だるさや冷えなどの不快感だけでなく、ひどくなれば血栓を生み出すなど、命に関わる危険もあります。早い段階でケアしてあげることが大切。ただし、ふくらはぎがむくんでいても、元凶となっているのは足の甲です。暴走している抜け道血管を閉じなければ意味がありません。むくみの解消には、抜け道血管をしっかり圧迫できる足の甲テーピングがおすすめ。約5~7㎝幅の弾性包帯などで、下に記した方法でテーピングをしてみてください。むくみが気になる時はもちろん、むくみを予防する意味でも効果的です。根本からケアするなら、むくまないカラダづくりも重要。生活習慣も見直して、むくみを元から断ちましょう。
実はNGそのむくみケア
◦水を飲むのを控えるは×
水分摂取量が少なければ、循環する血液の量が減り、静脈を流れる血液の勢いがなくなるため、細胞間に水分がたまりやすくなります。
◦利尿作用のある飲み物を飲むは×
利尿作用のあるコーヒーやアルコールの過剰摂取は、血管内の水分を減少させて、血液が流れる時の血管抵抗を高め、静脈外に染み出る水分を増やすことに。
◦足を高くして寝るは×
足先を高くすると一時的にラクになるように感じますが、足の甲の抜け道血管も開きやすくなるため、結果的にむくみを助長します。
◦足湯は×
足の甲が温められることで抜け道血管が開きます。足浴後もすぐには閉じないため、大量の血液が流れ込むことになり、むくみの原因になります。
◦靴下をはいて寝るは×
常に足の甲を温めていると、抜け道血管も開いた状態が続き、足がむくみます。足の先端の血流は悪くなるため、足先の冷えにもつながります。
◦マッサージをするは×
リンパ管を傷つけ、かえってダメージを与える危険も。改善にはテクニックも必要なので、素人が安易に行うのはおすすめできません。
〈指導・監修〉 サトウ血管外科クリニック院長 佐藤 達朗さん
日本胸部外科学会認定医。日本外科学会認定医。日本心臓外科学会所属。日本血管外科学会等所属。信州大学医学部を卒業後、神戸大学や京都大学医学部 心臓血管外科などを経て、武田病院グループで心臓血管外科部長。2008年には京都にサトウ血管外科クリニックを開院。下肢静脈瘤の専門家として半年先まで予約が取れないほど信頼されている。
著書:足の甲を巻けばむくみは治る!冷え・だるさも解消する「静脈」のひみつ
自由国民社 1,404円(税込)