笑顔あふれる毎日を過ごすためにカラダの不調をどうにかしたい。
専門の先生による解決法を紹介します。
vol.2 そのマッサージが悪化の元!肩の痛みは「ゆるめて」治す!
1日の仕事や家事を終えたとき、肩がガチガチに固まってしまい、ひどいときには頭痛にまで発展してしまう「肩こり」。筋肉をゆるめる
「揉まない、押さない、引っ張らない、リンパは流さない」方法でその肩こりはラクになるのです。
なぜ肩はこるの?
肉は適度に動かすことで、伸縮を繰り返す柔軟性があるもの。長時間同じ姿勢のままで筋肉が硬く動かなくなってしまった状態が「こり」です。
筋肉が硬くなると、身体の中で「水」が流れにくくなってしまいます。身体は60%以上を水分が占めており、この「水」が循環しているかどうかが重要です。身体には血管とリンパ管がくまなく巡り、水を運搬し、血管とリンパ管の間にも体液(間質リンパ)が流れています。間質リンパは、細胞に酸素や栄養を運び、細胞から排出された老廃物を毛細血管やリンパ管に運ぶ役割があります。この間質リンパを循環させるのが筋肉のポンプ活動です。
筋肉が硬くこり固まった状態だと体液の吸収、老廃物の排出が充分にできずに、疲労物質が溜まっていきます。これが筋肉の「こり」を助長してしまいます。そのため、「こり」のある部分を局所的に叩いたり、揉んだり、押したりしても、そのときは気持ちよく感じますが、周囲の筋肉をゆるめてたっぷりの体液を循環させなければ、「こり」は解決しないのです。
全身“ふにゃふにゃ”にしてハッピーな体に
こりが多い理由の一つに筋肉を動かしていないことがあげられます。それは筋肉を鍛える「筋トレ」ではなく、ゆるめる「筋ゆる」です。筋肉には、「収縮する」という命令系統はあっても、「ゆるめる」というものがありません。しかし、周囲を動かしたり、弱い刺激を与えて脳に信号を送ることで、筋肉をゆるめることができます。それが1日10秒の「筋ゆる」です。
肩こりを解消するためのストレッチは、普段伸ばさない部分を伸ばす気持ちのよいものですが、一時しのぎでしかありません。「筋ゆる」は筋肉の柔軟性を取り戻すもの。肩こりはもちろん、腰痛や目の疲れ、足のむくみなどにも効果的な方法です。
筋肉は、年とともに収縮し、よい姿勢を保てなくなったり、思うように身体を動かせなくなったりします。筋肉をゆるめることや、日常的にゆっくりとしたゆるーい動作を習慣的に行っていれば、筋肉はずっと“ふにゃふにゃ”の状態を維持することができます。その結果、身体の老化を遅らせることもできるようになるのです。
〈指導・監修〉 月見歯科クリニック医院長 佐藤 青児さん
メディカルエステ・メディカサトウ主催。「さとう式リンパケア」考案者。顎関節症の治療から考案した、全身の筋肉をゆるめる「耳たぶ回し」が評判となり、多くの患者の体の悩みを解決。日本国内のみならず海外でも「さとう式リンパケア」のセミナーを開催し、インストラクターの養成を精力的に行っている。その中でも「肩こり」の治療には定評があり、四十肩、五十肩が治った、という事例が後を絶たない。
著書:揉まない 押さない 引っ張らない「肩こりは10秒で治る」
祥伝社 1,296円(税込)