笑顔あふれる毎日を過ごすためにカラダの不調をどうにかしたい。
専門の先生による解決法を紹介します。
vol.6 尿トラブルは体操で改善!
尿の悩みは、尿失禁体操で気楽にケア
「咳をしたら尿がもれた」「出産後、尿失禁するようになった」などの尿トラブル。
悩んでいても恥ずかしくて病院に行けずに過ごしている人も少なくありません。
でも、尿失禁体操なら、自宅で誰にも知られずに改善していくことができます。
自分のタイプを知って尿トラブルを改善
尿もれは、年齢を重ねたり、出産後の女性によく見られる症状です。実際、中高齢の女性の約3割の方が尿もれの経験があるのだとか。けれども、羞恥心や、命に関わる病気ではないために、ほとんどの人が何の治療もせずに過ごしているのです。それではストレスが溜まったり、人との交流や外出がおっくうになるなど、生活の質は確実に落ちてしまいます。でも、その尿もれ症状の大半は、簡単な体操をするだけで改善することができます。
尿もれにはいくつかのタイプが存在しています。主なものは、咳をしたり笑ったときなど、腹部に力が加わることで起こる『腹圧性尿失禁』、急に尿意をもよ
おしがまんできなくなる『切迫性尿失禁』、下腹部が張っていて尿が出にくい『溢流性尿失禁』、尿意がないのに失禁してしまう『反射性尿失禁』、運動麻痺や認知症などによる『機能性尿失禁』などです。なかでも尿もれで悩
んでいる人の多くが該当するのが、『腹圧性尿失禁』と『切迫性尿失禁』、あるいはその2つを混合したタイプになります。
『腹圧性尿失禁』は、尿道を締め付ける筋肉の力が弱まったり、膀胱が下がってきたことで尿道
が締めにくくなっているのが原因。『切迫性尿失禁』は、急性膀胱炎や膀胱ガンなどの膀胱の疾患のほか、過活動膀胱などによっても生じます。過活動膀胱は膀胱が敏感な人に見られる症状で、多くが頻尿も伴います。
最も多い2タイプは体操によるケアが有効
今回紹介する尿失禁体操は、尿道を締めるための骨盤底筋を鍛えるものです。そのため、『腹圧性尿失禁』は、体操によってかなり改善され、ほぼ完治に近い状態になる人もいるほどです。『切迫性尿失禁』の場合も、膀胱の病気が原因のものを除けば、改善が見込めます。
まずは右ページのチャートでタイプをチェックしてみてください。病院での治療が最適なタイプもありますが、『腹圧性尿失禁』や『切迫性尿失禁』であれば、体操は有効な方法です。セルフケアで、生活の質を高めてみてはいかがでしょう。
〈指導・監修〉永弘クリニック院長楠山 弘之さん
医学博士。日本泌尿器科学会認定専門医。埼玉医科大学卒業後、癌研究会付属病院医員や、埼玉医科大学泌尿器科講師を経て、1991年に永弘クリニックを開院。尿トラブルの専門医として、尿もれや尿失禁、頻尿などの患者の治療にあたる一方で、テレビなどの出演を通じてアドバイスを行うことも。
著書:尿トラブルは自宅で治せる尿もれ・尿失禁の改善法
東洋経済新報社 1,080円(税込)